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  • tokuhata

RED対ニコン特許訴訟問題続報

更新日:2023年11月12日

 シネマカメラメーカーのREDが自社の圧縮RAW技術に関する特許をニコンが同社のミラーレスカメラZ9において不正使用したとして提訴していました。ニコンはREDの訴訟に対し、「すべての侵害を否定」したということを以前に書きましたがその続報です。


 REDが所有するこの技術の関連特許に関してはいくつかの企業がすでにREDからライセンスを受けています。ライセンスを受けずに訴訟に発展したケースもありましたが過去にソニー、アップルが敗訴していることを考えるとはたしてニコンに勝算があるのかどうかが興味深いところです。その後の経過を注目していましたがどうやらニコンはZ9に関する特許侵害の有無を争うのではなくREDが持つ当該特許の有効性そのものを争う方針のようです。



 米国特許法には特許を受けるための条件(の一部)として以下の記述があります。



 (b)の記述は、特許出願の1年以上前に刊行物に記載され、もしくは公的に使用、販売されている技術は特許を受けることはできないということを意味します。問題はREDが2005年12月にはこの技術について公言し、NAB2006のころには予約販売していたにもかかわらずこの特許をREDが出願したのは2007年4月だったということです。特許を受けるためには基本的にその技術に新規性があることが条件です。つまり「公知」になってしまった技術すなわち「新規性を喪失」した技術に関しては特許を受けることができません。ただしこの規則には例外があり「グレースピリオド」と呼ばれます。上記(b)はグレースピリオドについて規定した条文です。REDの場合はこの1年間のグレースピリオドが適用できる可能性があるのですがこの1年を考慮しても出願が遅すぎたということになります。ニコンはこの点を述べて反訴しているようです。

 

 この特許は過去にライセンスを受けた企業が複数存在するので仮に裁判所がこの特許が無効であると判断した場合にはかなり大きいインパクトが予想されます。引き続き経過を注目したいと思います。結論が出るまでには何年かかかる可能性がありますがその間はZ9の当該機能が使えなくなることはないと思われますのでZ9ユーザは今のうちにせっせと使うのがよさそうです。


参考情報:

https://www.dpreview.com/news/9301564383/nikon-denies-red-s-lawsuit-concerning-compressed-raw-patents


https://www.diyphotography.net/nikon-is-trying-to-invalidate-reds-raw-video-patent-arguing-it-shouldnt-have-been-granted-in-the-first-place/



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